
2025/07/01
職人さんの知恵はすごい話塗装職人さんのSNSで「2液型ウレタン塗料で使ったあとの刷毛はラシンで洗ってトシンで保管する」という意見があり妙に感心してしまいました。ちなみにラシンは裸身ではなく業界ではラッカーシンナーのことです。ウレタン塗料は硬化剤のイソシアネートがアルコール、とりわけ低分子アルコールと反応しやすいのでこれを反応停止剤にできます。某大手塗料メーカーのラッカーシンナーSDSを見てみても・・・・もっとも低分子アルコールであるメタノールが含まれていますね。同様のことは2液型エポキシプライマーにも言えますが、こちらは停止剤がアンモニアかアミノアルコールになります。
厄介なのは2液型アクリルシリコン塗料で、これは適当な停止剤がなく、反応を止めるには温度を5℃以下に下げるしかありません。使った後の刷毛を冷蔵庫に入れるくらいですね。
いままでの経験則なのですが、刷毛を大切に扱う職人さんは間違いなく技量に優れています。
2025/05/03
塗膜に親水性を付与する一般的な方法このブログではAIで得られる知識を超えることを信条と基準にしています。
塗膜のセルフクリーニング機能がその親水性に比例していることはもう30年以上前から知られてきましたが親水性にする方法が難関でした。親水性は吸湿性や水溶性に繋がり、つまり外装塗膜に絶対必要とされる耐候性&耐水性を大幅に低下させることになるからですね。表面だけを都合よく親水性にするといいのですが、そんな都合のいい成分はそんなに多くは存在せず、結局実用に至っているのは「オルガノシロキサン」というシリコーン化合物だけです。オルガノシロキサンはちょうど水の表面に油膜が張るように塗装後に表面に浮かび上がってくる性質がありますが、親水性はそれが加水分解されてシラノール基Si-OHに変わってからで、それまでは撥水性のままです。親水性を謳っているサイディング材でも倉庫で在庫している間は湿気が少ないので加水分解せず、ずっと撥水性のままです。これは塗膜の耐候性を損なうことなく表面を親水性にする有力な手段ですが・・・一つだけ難点があります。シラノール基はそれ同士が縮合して徐々にシロキサンに戻ってしまう性質があるのですね、ガラスです。だから親水性も徐々に低下します。また、表面が薄くガラスに覆われた状態になるので塗り替えはガラスへの再塗装と同じになりますのでちょっと難しい点が出てきます。当社では光触媒&クリヤーも含めて再塗装用の仕様もご用意しておりますのでご興味の折にはご連絡ください。