
2025/02/09
金属チタンはそもそも撥水性がすごい1991年の日経アーキテクチュア誌に「金属チタン板を外装に採用した養命酒本社ビルがその予想外の汚染の進行で数ヶ月に一度は洗浄せねばならない事態に悩まされている」という記事があり耐候性1000年以上の外装材にも思わぬ落とし穴があるものだと感心していましたが、これは酸化チタンの光触媒としてのセルフクリーニング機能を知る前のことでした。よくよく調べて見ると究極の耐候性を求められる建造物でけっこう広く採用されています。最近話題のフジテレビ本社ビルの球体部分も金属チタンですが拡大画像で確認するまでもなくすごく汚れていますね。しかし、金属チタンが典型的なバルブメタルに属しますので表面に安定な酸化チタンの薄膜が生成してそれがこの超耐候性を生み出しているはずなのですが、あれ??酸化チタンは光触媒でもあり、超親水性で有名ではなかったか?? 金属チタンの表面を加熱しようがどうしようが撥水性のままで、これを親水性にするためには表面に光触媒酸化チタンコーティング剤を改めて塗布するしかありませんでした。つまり親水性を得るにはある程度の酸化チタン層の厚みが必要だという証左ではないかと私は考えました。光触媒でもある酸化チタンの親水性については諸説あるもののまだ定説はありませんが、もっとも有力な説としては表面の酸化チタン結合Ti-Oが水酸化チタンTi−OHになるからだとされています。それに対して私は以前から光触媒反応生成物である活性酸素H2O2等が蓄積されてそれが親水性を醸し出しているのではないかという自説を唱えていました。厚みが親水性の現出に必要だという事実は後者の正当性を裏付けていると最近確信しています。もう繰り返しご説明してきましたがセルフクリーニング機能は親水性に正確に比例しますので「光触媒層は一定以上の膜厚が必要である」という結論に結びつきます。
2025/01/09
ガルバリウム鋼板の本質と塗装・施工のポイントガルバリウム鋼板との関わりは駆け出しサラリーマン研究者のときからですのでもう40年以上になります。亜鉛とアルミニウムの合金メッキなのですが比重差を考えるとほぼアルミニウムメッキですね。画期的な耐食性を示すメッキ鋼板で著名ですが、その原理を理解しているヒトはまだ少数派のようです。ChatGPTも知らないようですので私が解説させていただきます。亜鉛メッキ鋼板の防錆は犠牲陽極反応に拠っているのですが、下の表のように電位の比較では犠牲陽極は亜鉛よりもアルミニウムやマグネシウムのほうがこのましいことが分かります。マグネシウムは理論通りに犠牲陽極としても採用されていますがアルミニウムはそのままでは犠牲陽極にはならないのは、表面にすぐ絶縁性の酸化アルミニウム層が形成されるからです。人為的にする工程を「アルマイト加工」といいます。亜鉛と合金にすることによりその酸化アルミニウム層が形成されにくくなり、本来の犠牲陽極としての性能が発揮されているので単なる亜鉛メッキより段違いに耐食性があると考えるのがもっとも合理的だと考えられます。
ただ、だいたいのガルバリウム鋼板は表面にアクリルシリコンやポリエステル焼付け塗装が施されているので光触媒をガルバリウム鋼板に塗布するといっても現実には表層であるアクリルシリコンやポリエステルに塗布することになるので深く悩む必要はなく、たんに焼付け鋼板に光触媒を塗布すると考えて頂いて差し支えないです。むしろ光触媒よりも仕上げ施工や通常の塗装で細心の注意を要するのは「端部処理」です。むき出しの端部に水分が滞留すると亜鉛-鉄間よりももっと激烈な発錆反応が生じますので膨大な錆が発生します。むき出しの端部を絶対に作ってはいけません。端部は必ず分厚く塗装するか少なくともハゼ折り加工をする必要があります。