2024/11/10
光触媒効果に即効性を持たせるにはこの9月と2019年にこのテーマでちょっと触れましたが今般はその詳述偏です、ChatGPTでは得られない情報を心がけています。
光触媒はエポキシやウレタン等の樹脂を易々と分解することはもうご紹介しましたが、それは数年にわたる長期間をかけてのことです。我々が期待する光触媒効果は分単位や秒単位で発現することを前提にしています。それを実現するには発生した活性酸素を蓄積する工夫が必要ですね。
ここで「光触媒反応は我々が期待したほど強くはない」という欠点が利点になることが分かってきました。光触媒の性能を評価する指標として「メチレンブルー分解活性値」がよく用いられますが、これも正確にはメチレンブルーは分解している訳ではなく、ラジカルの還元を受けて無色のロイコ体に変化しているだけですね。
たとえば光触媒でエタノールはけっこうかんたんに酢酸へと酸化されますが、反応の終着駅である炭酸ガスと水にはなかなかなりません。酸化力は(短期的には)そこまで強くない証拠です。でも逆に見ますと酢酸の先の破線で示した中間体には変化しますので、この中間体を工夫することで活性酸素を蓄積させる事が可能です。すべて瞬時に炭酸ガスと水になってしまったら活性酸素特性の工夫のしようがありませんからこれは大きな利点です
・・・実用化に向けてより詳しく知りたい方々には個別に続きを開示します。
2024/10/14
水性塗料は乾燥すると色が濃くなるこれは塗装業界ではよく知られた現象ですが案外「なぜなのか?」を知らないヒトが多いです。かんたんにはもう2017年11月13日に解説させていただいていますが頻繁に問われることが多いので、今般はその応用編として解説します。
水性塗料の樹脂はエマルジョンという状態で、水の中に樹脂の細かい粒が分散されています。水の屈折率(n=1.33)と樹脂の屈折率(たとえばアクリル樹脂はn=1.50)にけっこうな差があるので光が界面で散乱や反射するので、見た目に白く見えます。
これが乾燥すると樹脂の粒の間隙を埋めていた水分がなくなって樹脂が一体化して散乱や反射をしなくなるので見た目は透明になります。これが「色が濃くなる」現象の主因というか唯一の原因ですね。ところで、同じ水性塗料の同じような色でもこの「濃くなる現象」に差があります。樹脂に対する顔料の比率が高いときや、ズバリ樹脂の濃度が薄い場合にはこの現象は穏やかになります。
樹脂の濃度や比率が低い、ということは耐候性が低下することとほぼ同義ですので、この現象が穏やかな水性塗料は耐候性があまりよくないことに繋がります。