2024/12/22
ジンクリッチペイントの原理と注意点金属亜鉛の犠牲陽極作用を利用して鉄鋼の錆を防ぐ「ジンクリッチペイント」をプライマーとして採用されていることが最近多いのですが、注意点をいくつか指摘させていただきたいと思います。ジンクリッチペイントは金属亜鉛メッキの代用として使われるものですから、本来は亜鉛粉100%で構成されるべきなのですが、そうすると塗料になりませんので微量の樹脂が添加されています。下はもっとも有名はローバルという製品のSDS抜粋です。樹脂成分が企業秘密として記載されていませんが、揮発してなくなってしまう溶剤成分を引くと亜鉛粉70〜75%(重量日)に対して樹脂は0.5%程度になります。これは無理からぬことで、亜鉛の粒子間では防食効果をえるために金属導電性が確保されていなければなりません。そのためには亜鉛粒子間が接触していることが必要です。途切れていると間に電気を通さない樹脂が入って防食機能がまるでなくなってしまいます。比重1.2程度の樹脂がちょびっとある溶液に中に比重7.2の亜鉛粉が分散しているので、これはたいへん沈降しやすい塗料であることが分かります。使用前はもちろん、使用中にも耐えず攪拌し続けなければ本来の性能が得られません。常に乾燥塗膜が上の図のBになることが必要なのですね。
さらに絶対に必要な項目があります。
それは鋼材の間とも「完全な金属導電性」を確保しなければならないという点です、これを見落として施工されている場合が実に多いです。具体的には塗布する前の鋼材をピカピカの金属光沢が得られるほどの状態にしなければならないということで、2種ケレン以上になります。これだけでけっこう本番の塗装以上のコストがかかりそうですね。ジンクリッチペイントは上の2条件を厳密に守って施工しないと亜鉛メッキ並の防食効果が得られないです。
ところで当社では現在、バインダーにナフィオンを採用して防食性能を大幅に改善させるジンクリッチペイントを開発中ですので近々また新製品としてご報告できると思います。
2024/11/10
光触媒効果に即効性を持たせるにはこの9月と2019年にこのテーマでちょっと触れましたが今般はその詳述偏です、ChatGPTでは得られない情報を心がけています。
光触媒はエポキシやウレタン等の樹脂を易々と分解することはもうご紹介しましたが、それは数年にわたる長期間をかけてのことです。我々が期待する光触媒効果は分単位や秒単位で発現することを前提にしています。それを実現するには発生した活性酸素を蓄積する工夫が必要ですね。
ここで「光触媒反応は我々が期待したほど強くはない」という欠点が利点になることが分かってきました。光触媒の性能を評価する指標として「メチレンブルー分解活性値」がよく用いられますが、これも正確にはメチレンブルーは分解している訳ではなく、ラジカルの還元を受けて無色のロイコ体に変化しているだけですね。
たとえば光触媒でエタノールはけっこうかんたんに酢酸へと酸化されますが、反応の終着駅である炭酸ガスと水にはなかなかなりません。酸化力は(短期的には)そこまで強くない証拠です。でも逆に見ますと酢酸の先の破線で示した中間体には変化しますので、この中間体を工夫することで活性酸素を蓄積させる事が可能です。すべて瞬時に炭酸ガスと水になってしまったら活性酸素特性の工夫のしようがありませんからこれは大きな利点です
・・・実用化に向けてより詳しく知りたい方々には個別に続きを開示します。