2018年07月16日 [光触媒]
塗膜の隠ぺい力、隠ぺい率のお話
塗料関連の計測技術や理論は純粋な科学というより感覚的なものが多いのですが、これもその典型ですね、「隠ぺい力」隠ぺいというと何か悪いことを指しているような気がしますが、これは単に「塗膜が肉眼でどれくらい下地を隠せるか」という(一応は)数字としての指標です。
隠ぺい率試験紙はシールになっているのも売っていて、これを測りたい面に貼り付けます。そしてその上から塗料を塗って乾かすと・・・・スケスケなんでまだシールの存在がクッキリわかりますね。
黒い部分と白い部分のL値(色差計の白色度)を測って、その比率が隠ぺい率です。差がないと「隠ぺい率100%」となりますが、そのときにはシールがどこに貼ってあるか判らないから測れないような気もしますが・・・現実に隠ぺい率100%の塗料は存在しませんのでご心配なきよう。 このベージュ色の塗料の場合は隠ぺい率20%程度です。同じ顔料濃度でも淡色より濃色のほうがいい数値になりますが、それは「化学よりも感覚の世界」ということでご容赦ください。
隠ぺい率が低いほど塗料の耐候性がよくなるということは去年お話ししましたが、それは塗膜中の光触媒反応を抑えるという意味でそうなることが理論的にも現実も正しいのですが、もう一つ面白い現象としては「こんなスケスケに見えるときでもUV光はほとんど遮蔽している」ことでしょうか。日焼け止めに含まれる含量はほぼ酸化チタンですが、ゴールデンボンバーの樽美酒のような顔になるまで塗らなくても効果は十分にあることからそれが判ります。この現象を更に応用して面白い使い方を考えて特許も出願しましたが具体的なご提案はまた追々と・・・・
ひとつ「直ぐにできる応用例」としまして・・・鉄鋼等の防食塗装で上塗りを厚塗りしなければならない仕様で、さび止めエポキシを黒や濃色にすることがよく行われています。厚塗りにしないと透けますからね。しかし黒よりも何よりも「ゼブラ模様にするのがもっとも厚塗りを要する」という事実は案外知られていないですね。
施工する立場の方々からは恨まれそうな情報ですが・・・