2024年07月26日 [光触媒]
光触媒に適したバインダー樹脂とは
前のブログに続きですが、光触媒反応に浸蝕されない樹脂として4フッ化エチレン6フッ化プロピレンコポリマー(FEP)を樹脂成分に採用して1世紀の耐候性を有するフッ素樹脂塗料をほぼ完成しつつあったのですが、じゃあ、その樹脂をそのまま採用して光触媒塗料ができるような気もします。しかし現実にはその問題点だけを克服しても完成しません。光触媒反応のおさらいをしてみましょうホンダフジシマ効果をよくよく顧みると水溶液中の反応であることが分かります。つまり反応に水が介在します。FEPは超撥水性で水をまったく寄せ付けないので光触媒用のバインダー樹脂になりえません。シリコーンもその意味でアウトですね。また、シリケート系のガラス質も水を通さないという意味でアウトっぽい材料です。そこで私が注目したのがナフィオンです。これ以外にも塗装適性という要因も加味していちおう光触媒用の必須条件を大まかに纏めますと
1. 光触媒反応に浸蝕されないこと
2. 十分長期の耐候性を有すること
3. 水を膜内に取り込む性質があること
4. 水だけでなくアルコールやこれをその他の有機溶剤にも溶解すること
5. 硬化後には十分な耐水性を有すること
6. プラスチック等への付着性を有すること
と6項目が挙げられます。これをすべてクリヤーできる樹脂は今のところナフィオンだけで、やや近い性質の樹脂としてはポリアクリル酸が上げられますがこれは2と4と5が今のところクリアできないので実用にはまだ遠いのが現実です。
「耐候性をもつ樹脂主鎖に親水性の枝を付ける」という原理自体は明白ですので、今後これに従った展開での新製品を開発中ですので順次ご報告させて頂く予定です。