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2022年07月24日 [光触媒]

鉄筋コンクリートの塩害対策

コンクリート自体は塩水を大量に含んでも強度は何ら影響を受けませんので「コンクリートの塩害とは何か?」という根本的な疑問がときどき寄せられてきます。
海岸別荘
コンクリート中の鉄筋は強アルカリ性の環境で不働態といわれる安定な酸化膜(Fe2O3)が表面に形成されているので未塗装なのに長期間錆びずにいることが可能になります。
ただ、ここで海水の塩化物イオンCl−が侵入するとその不働態膜が破壊されて強アルカリ性であるにもかかわらず鉄筋の腐食が進行してしまいます。コンクリートの強アルカリの意味がなくなります。 これがいわゆる「コンクリートの塩害」の実態です。
プールベ―
海沿いのコンクリート建造物で塩化物イオンCl−の浸入を完全に塗装で防ぐのはけっこう難しく、防水グレードの1000μm以上のしかも欠陥のない厚い塗膜が必須です。実際にはなかなかこんな施工はできませんので「塩害はある程度起こる」という前提に立つ必要がありますね。また、あとからアルカリ性にしても意味がないので市販のアルカリ回復剤等はまったく効きません、根本的に別の対策が適用されねばならず、ここでカソード防食の登場です。
まだまだ建築分野では実施例が少ないのですが土木の分野ではカソード防食は広く行われています。上の図の下矢印に向かわせる作業です。不働態をつくるのではなく鉄自体を錆びない状態にしますのでこの状態では理論上、鉄を硫酸に漬けても錆びることはありません。
カソード防食
ただ、従来のコンクリート用カソード防食には問題点がいくつかあり、広い普及には至っていません。「かなり高価になること」「施工&メンテが煩雑であること」「Cl−を除去できないので根本的な解決にならないこと」の3点です。
陽極材料がとくに難しいのですが金属チタンに白金族酸化物をコーティングしたDSE電極というものが採用されています。代表的な白金族のイリジウムの価格は・・・
イリジウム価格
円とグラムに換算すると29000円/gになります。そもそも金属チタンが高価なのですがそれにこれをコーティングするので、なおさら高価になります。そしてこれをコンクリートに埋め込む作業がありますが、これがけっこうな難工事になります。メンテで電極を交換する際にはコンクリートから再度掘り起こさねばなりません、気が遠くなりますね。致命的なのは、これだけ苦労して実装してもCl−を除去できない点です。せっかく陽極に集められたCl−もコンクリート中ですから電源が切れるともとに戻ってします。
新工法ではこの陽極材をコンクリートの外に配置しました。そうするとCl−は塩素ガスCl2になって大気中に散っていきますのでコンクリート中のCl−を除去できます。まさしく今まで悩まされてきた「コンクリートにいったん浸入したCl−は除去できない」という超難問を解決していることになります。とくにここでは詳細に言及していませんが光触媒も有用な役割を担います。

当社は施工はしませんが、今、大手工事会社とのコラボでこの改良カソード防食の専業施工会社を設立する準備を進めておりますのでご期待ください。

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