2022年05月27日 [光触媒]
木材への光触媒施工の理論と実例
木材への光触媒の適用は業界としての永らくのテーマでしたが、そもそも光触媒のどの機能を付与するのかも悩ましいテーマでした。この分野で精力的にご協力を頂いているコラボ先から提供を受けた写真とともにご紹介させて頂きます。
木材には「セルフクリーニング」を求められることは殆どなく、むしろ変色防止やカビ防止を強く求められることが今でも一般的です。コンクリートに光触媒を塗布する場合と根本的に異なるのは「「木材はそれ自体が微生物の養分である」という点です。たとえば木材の主成分のセルロースはでんぷんと同じく分解すればブドウ糖になりますから、微生物にとっては砂糖のカタマリのようなものです。
こんな砂糖のカタマリを菌やカビという微生物から守らねばなりませんので相当の対策が必要ですね。たとえるならば角砂糖をアリから護るような工夫です。
光触媒コーティングでの木材保護の基本イメージをこの図に示しました。
劣化の最大要因である木材腐朽菌&カビ類の繁殖を止めるためには、やはり銅イオンCu2+を潤沢かつ長期間供給することが重要になりますが、それ以外にも外部からの降雨、結露水、UV光等から木材を保護するためにかなり厚いフッ素樹脂層を形成させることが必須になります。尚、このフッ素樹脂はナフィオンなので木材の呼吸を止める心配がないのが隠れた最大のメリットですね。光触媒反応は残念ながら木材腐朽菌&カビにはまったく歯が立ちませんがフッ素樹脂層に適度に親水性を帯びさせて銅のイオン化を促進するのとUV光を吸収するという副次的ですが重要な役割を担っています。
1年近く比較試験して頂いた結果は驚嘆すべきものでした・・・自分でもまさかここまで効果があるとは確信が持てませんでしたので。(ちなみに木材の腐食分野での促進耐候性試験は存在しません)
特記すべきはバインダー樹脂に採用しているフッ素樹脂であるナフィオンが沸騰水にもビクともしないほどの耐熱水性を有することです。同社では引き続き高級温泉旅館のヒノキ風呂の劣化防止に取り組んで頂いております。お蔭様で光触媒の応用の範囲がますます劇的に広がりました! 尚、木材のもうひとつの関心事であるシロアリ駆除はもうホームページ中でも解説しておりますが蚊やゴキブリやハエまで駆除できる燻蒸方式を別途ご提案しています。