2022年01月26日 [光触媒]
薄膜で持続的な抗菌性能は出るのか?
一般的な外装塗料を現場施工すると下塗りも含めて乾燥膜厚はだいたい100ミクロン程度あるとされています、1万円札の厚みと同じですね。
対して光触媒コーティング剤は概して超薄膜で、1ミクロン前後だといわれています。サランラップが10ミクロンなのでこれのまだ1/10の膜厚しかありません。
こんな薄膜しか形成できないコーティング液中に殺菌添加剤を加えるとどうなるか!?想定されるのは1)雨水や結露水で流出する 2)透過したUV光で分解されてしまう ということでどちらにせよ持続性はまったく期待できません。 困ったことに光触媒単体での抗菌性能は十分ではないので実用上の性能を得るためには何らかの殺菌添加剤の併用が避けられないのですが2)の問題も大きく立ちはだかっています。たとえば代表的な殺菌添加剤である塩化ベンザルコニウムの場合を見てみましょう、構造はこのようになります。
UV照射による有機物の分解は大きく分けて「光励起による二重結合の開裂」と「光触媒反応の生成ラジカルによる分解」の2種があり、微妙に生じる波長が異なります。UV-Bに属する@の領域のUVが前者のエネルギーになりUV-Aの領域のAが後者のエネルギーになります。前者では主にC=C二重結合(図の意〇部分)が優先して開裂し、後者では孤立電子対を持つ元素(N,O,Setc、図の矢印)の周辺で分解が進みます。スペクトルを見てもわかるように自然光では有機物の分解に後者が優先して進行することが分かりますが、キセノンランプの照射下では両方とも同程度進行しますので促進耐候性試験にはキセノンランプがよく使われるのですね。
前ブログと同じ某大手得意先の依頼で、この促進耐光試験後の光触媒塗装面の抗菌試験を実施してきました。キセノンランプで100時間も照射しますから一般的な殺菌添加剤ならすべて分解されて抗菌能力はまるでなくなりますが・・・黄色ブドウ球菌でさえ抗菌活性値R=3.7つまり24時間以内に99.98%が死滅するという驚異的な成績を得ました。1ミクロン前後の極薄膜でこのような性能を示す(光触媒を含む)コーティング剤はこれ以外に存在しないと断言できます。
金属銅、金属銀からイオンをリリースして抗菌機能をつける方式の優秀さが公的機関で認められましたので誇らしいです。
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