2020年01月03日 [光触媒]
建築メンテの側面からのCO2削減
炭酸ガスの発生源として石炭火力ばかり悪者になっていますが、実は見落とされているもっと凄い発生源がありまたそれらは未だ削減のメドが立っていません。「鉄筋コンクリート」で使う鉄とセメントです。かんたんに反応を解説しましょう・・・・
鉄の製造で欠かせない鉄鉱石の還元剤は石炭(コークス)以外にありえず、加熱で使う石炭も含めて膨大な量を消費しています。また、セメントは石灰石を加熱してわざわざ貯蔵されていた炭酸分を外していますので炭酸ガスの発生は理論的に不可避なのですね。製造工程を見直して鉄筋コンクリート打設時の炭酸ガス発生を抑えるのは、従ってあまり効率的な方法とは言えません。
・・・・ちょっと我田引水感が否めませんが「今ある鉄筋コンクリート構造物の超長寿命化を図る」ほうがずっと効率的な対策ではないでしょうか。剥き出し状態に近い化粧打ち放しコンクリート仕上げでも入念な手入れをすれば新築のような状態を超長期間継続できます。
例えばこれは有名な世界遺産のオペラハウスですが、タイル張り仕上げは外殻だけで
その内部はすべて打ち放しのままです。
海岸沿いの立地ですが頻繁で入念な撥水剤の再塗装で劣化を防いでいます。竣工後45年が経っていますが4〜5年前にできたような美しさです。それよりずっと新しい赤坂プリンスホテルが取り壊されて跡形もないのと好対照ですね。
では、劣化が過度に進んでしまえば打つ手はないのでしょうか??
これは軍艦島30号棟で日本最古の鉄筋コンクリート建築の一つです。もう103年経っていますが(撮影時は101年)外観がボロボロではあるものの構造体としてはまだまだ健全さを感じました。かなり進行してしまった塩害と中性化を有効に防ぐことができれば200年以上でも維持可能ではないでしょうか。このような末期とも思える外観のRC建築物でも蘇生させる光触媒応用技術を磨いていますので今年も定期的にご紹介していこうと考えております。時折ホームページをご参照ください。尚、これは(株)ケミカル工事との共同研究です。