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2024年09月23日 [Default]

いわゆるシリコン塗料やセラミック塗料とは

フッ素樹脂塗料は超耐候性をウリにしてきたのですが1990年初頭にカネカ(鐘淵化学)が樹脂の架橋成分にシリコーンを採用した塗料用のアクリル樹脂を開発して当時大きな話題になりました、品名は「ゼムラック」と称してました。既存の安価な樹脂の組合わせでほぼフッ素樹脂と同程度の超耐候性が得られるのですから塗料業界のゲームチェンジャーになる可能性がありました。ゼムラック私もその化学構造と特性を当時は必死で研究しました。かんたんにはザッと以下のような構造です。優れた塗料用樹脂ではありますが「硬化に時間が掛かる」と「湿気のような水分で反応を起こすので水性にはできない」という欠点も分かりました。構造1これが大々的に市場に現われてきてから「アクリルシリコン塗料」または「アクリルシリコーン塗料」という名称が一般的になってきました。余談ですが私はふつうのアクリル塗料にγ-イソシアネートプロピルトリメトキシシランという試薬を投入するとかんたんにアクリルシリコン塗料になることを発見しました。今でも使えますのでご興味の折にはご連絡ください。
アクリルシリコン塗料は水性化が不可能だと思っていたのですが不思議なことに2010年くらいから水性のアクリルシリコン塗料が登場してきました。略してシリコン塗料と言われるようにもなり「どんな分子構造になっておるのだ?と訝っておりましたが、どうやら以下のようになっているようです。架橋部分がなく、たんにアクリルの主鎖にシリコーンの枝が所々に生えているだけです。水性シリコンこんなんでアクリルの耐候性が向上するのだ??という疑問が湧きますが、これはシリコーンの超撥水性に拠る成果ですね。ケイ素と炭素の直接結合は天然には存在せず人工的なモノですがフッ素を超える超超撥水性が特長なので塗膜内への水分の浸潤を防ぐ防波堤になります。これは耐候性の向上に大きく寄与します。ただ、問題はその含有量で、別にJISでシリコーンの含有量は規定されていないのでメーカーの方針に大きく依存します。FT-IRただ、シリコーンは特殊な官能基が多く、これはFT-IRでかんたんに分析可能でおおまかな含有量も推定できます。シリコーン(樹脂)の成分のシリコン(ケイ素)はセラミックとも見なせますのでシリコン塗料という名称に飽きたメーカーは「セラミック塗料」とも最近称しだしてます。

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