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2024年01月01日 [光触媒]
シリコーンと光触媒は本来相性がよくない
ケイ素(Silicon)はなかなかクセの強い元素で扱いが難しいです。それを樹脂の主鎖にしたのがシリコーン(Silicone)です。天然の環境下ではケイ素は必ず酸素と手をつないでいます。 Si-Oですね、天然にはこの結合しか存在しないのですが、厄介なことにSi-Oは相手があると永遠にこの反応を続けます。そしてケイ素の手が4本もありますから、3次元的な高分子を作ることになります。たとえばガラスですね。なんとか無駄に反応したがるケイ素を飼い慣らそうと、その2本だけ炭素とくっつけたのがシリコーンの始まりです。ケイ素と炭素の直接結合は、フッ素と炭素の直接結合と同じく人間が人工的に作り出した化学結合ですが、非常に安定でケイ素はやっと線形にしか伸びなくなりました。ケイ素を含む高分子はガラスのように非常に「硬い」というイメージがあったのですが、これで「もの凄く伸びて柔らかい」という正反対の性質の革命的な樹脂であるシリコーンが発明されたのは1934年、フッ素樹脂発明の4年前でした。あの頃のアメリカ有機化学界は元気でした。たとえばその代表選手であるシリコーンシーラントは実用上ゆうに1世紀を超える耐候性があるとされていますので光触媒のバインダーとしても優れているのではないかと、かねてから着目はしておりましたが、致命的な難点があります。「強烈な撥水性」ですね、これは人工的に作られたケイ素と炭素の直接結合に拠るものと考えられますが・・・光触媒は水の分解反応であり、そもそも表面を親水性にしてこそ効果を発揮する現象ですので、この超超超撥水性のシリコーンを使いあぐねてきたのが正直な経緯です。しかし現在ブレークスルーを見いだしました。乞うご期待!