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2023年11月03日 [光触媒]

光触媒とUV光の波長のお話

人間の皮膚劣化の例を挙げるまでもなく一般的な有機物&プラスチックの光による劣化はUV光による高分子の光分解とされています。わかりやすい例がたとえば常時日光に曝されるところに放置される洗濯バサミです。洗濯バサミ劣化の主な現象は褪色と脆化ですね、素材のポリエチレンは主鎖が光分解されやすいプラスチックです。   しかし同じ有機物でも塗膜の劣化はちょっと状況が違います。塗膜には酸化チタンやベンガラ、鉄黒、亜鉛華等々の金属酸化物系顔料が多く含まれ、これらが光触媒反応を起こして塗膜の高分子を分解して劣化します。チョーキングという現象はこれによる劣化の典型例ですね。チョーキングメタリック車の保護クリヤーとして一般的に塗布されているUVカットクリヤーにはベンゾフェノン等の有機系UV吸収剤が採用されており、完全な透明性を保ちながらUV光をほぼ完全に遮蔽します、すばらしいクリヤーですね。スペクトル
でも、あれれ?・・・実はこのUNカットクリヤーがカットするUV光と光触媒反応を起こすUV光の波長が微妙にずれているのですね。図で示しますが光触媒反応を起こすUV波長である370〜400nmの領域のUV光はまったくカットされていません。図すると、たとえば光触媒が塗布された面にこのUVカットクリヤーを塗布しても光触媒反応を抑えることができません・・・できていると信じると大クレームになりますね。これは意外に大きなテーマを孕みますがこれはまた次の機会に詳述します。

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